物質の運動→ 熱の伝導  単極誘導モーターへの応用について

ある科学者が 熱の伝導 に関することで次のように述べています。「浮き葉的余生に」のサイトより一部引用します。

君の国の科学技術者はいまいわゆる原子エネルギーで推進する潜水艦の建造計画に従事している。(注=この記事はかなり昔に発表されたものである)彼らは原子炉を建造してこれをやろうとしている。その原子炉の中ではウランの軽いアイソトープが熱エネルギーと数個の中性子を放ちながら分裂し、これが他の重いウランに吸収されて、またそれが分裂する。かなり複雑だけれども、この方法は地球人がいままでに作り出した方法としては最も有効なエネルギー発生法だ。しかしこの熱エネルギーを宇宙船の推力に変えるために、彼らは原子炉の中に流動体を循環させようとしている。つまり熱変換器の中に流動体を循環させて圧力下に別な流動体を蒸気に変え、この蒸気をタービソの中に通してタービンを回転させ、それによって発電機を廻して電力を得ようというのだ。もし彼らが三〇パーセントの総合的な効果をあげれば、これはたいした技術上の功績ということになるだろう。
だがもし彼らがもっと簡単な言葉で考えることができれば、現在持っている知識でもって核分裂炉のまわりに簡単な熱電対を作って、発生す温度変化を直接に電気エネルギーに変えることができ、少なくとも九四ないし九八パーセントの効果をあげられるだろう。これには可動部分は不要だし、費用も安上がりで、エネルギー出力の単位あたり少ない物量ですむ。だがわれわれの方法にくらべれば、この方法さえも不経済で複雑なように思われる。

下線と強調は管理人による。

原子炉による発電にタービンを回すのでは効率は30%くらいだといいます。 それを機械稼働部分のない熱電対で94~98%の変換効率を実現できると述べています。

熱電対について調べてみると、国立研究法人産業技術総合研究所の2015年11月の記事で「変換効率11 %の熱電変換モジュールを開発」とあります。

熱電変換モジュール概略図

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20151126/pr20151126.html

上記引用の事件があったのは1950年です。まあ、90%以上というのは、普通は考えられない高効率です。


元ネタである久保田八郎氏による翻訳本では、引用部分は削除されています。3年ほど前にネットで原文を読む過程で気付きました。 これまでの考察からしてある科学者の話しにはある種の飛躍や比喩が含まれています。こちらの知識・知恵が未熟であって、こちらの知っている言葉に置き換えて話しをします。

ただ、この熱電対については、おそらく比喩でも飛躍でもありません。何らかの方法によって実現可能な範囲であるように感じます。 因みに、上図に示されているのはペルチェ素子といいます。

ペルチェ素子を使ってソーラーモーターを回したのが次のgifです。

ペルチェ素子40×40㎜、タミヤソーラーモーター(0.5V0.019A)、CPUクーラーを使っています。 熱源はハンダゴテです。寒い季節なら手のひらの温度で回せるようです。

素子を薄くて白いセラミックの板2枚で保護しています。 素子であるn型熱電変換材料とp型熱電変換材料は、互いに銅電極にて連結されています。この電極及びn型p型の素子群は、セラミック板の外部に導通することはありません。

http://www.yamato-electric.com/topicspeltier.html

 


で、物質の運動と「の伝導」との違いについてです。念頭にあるのはファラデーの単極誘導モーターです。 物質の運動は誰にでもわかります。熱の伝わり方もわかります。しかし、2つの違いはと云われると明確に答えにくいです。

2013年頃水銀を用いた単極誘導モーターの実験7を行いました。

この実験は、単極誘導モーターの電極を棒にしたものです。

 

生じた力は棒電極の近傍にある水銀を盛り上げています。(赤い矢印の部分) 結果として紙コップに入れた水銀は、渦を作っています。 これが単極誘導モーターによる流体の運動です。どうも電極と水銀が接するところに力が生じるようです。

もし電解液を使った単極誘導モーターで、電解液がゲル状(ジェル)であったらどうなるのか興味を持っていました。まだ確かめていません。


今回、ペルチェ素子を用いた発電機構ではなくて、単極誘導モーターを作れないかということです。

複数のペルチェ素子を配列して「熱伝導の渦」を作ります。これは可能です。 問題は、熱伝導の渦の中央に磁石を配置して単極誘導モーターとして機能するかどうかです。

単極誘導モーターに生じる力は電極と流体あるいは、銅板と接点(接触部分:ブラシ部分)に生じるようです。

ペルチェ素子のn型、p型熱電変換材料と連結材料の接点(接触部分)に「熱の伝導(吸熱と排熱)」があるとして、それに単極誘導モーターに生じる力が「熱の伝導」に加算されるかどうかです。

まとめると、単極誘導モーターの水銀や電解液の渦(回転運動)に代えて「熱伝導の渦」にするということです。 セラミック板を通して熱は伝わりますが、単極誘導モーターとして機能するかどうか。やってみなければわかりません。 研究資金の都合もありますので、できるかどうかわかりません。構想の段階です。

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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