2013年頃に水銀を用いた単極モーターの実験を行いました。「動画一覧 再生リストの(実験)」にあります。 特徴的な部分については、「ファラデーの単極モーターに生じる力の解析」に掲載しています。
単極誘導
ファラデーが発見した 単極誘導 の実際は次図のような物です。
図1 単極発電機
図2 磁気のいま昔 水銀を用いた単極モーター
わかりにくいので、教科書にある図(下11.9)をご紹介します。
棒磁石に軸を取り付けて回転させます。すると磁石に取り付けたブラシと回転軸の間に電流が流れます。これが 単極誘導 の現象です。検流計の代わりに直流電流を流すと軸を中心に磁石は回転します。これが単極モーターです。興味深いことに、教科書に 単極誘導 の現象の記述は僅かです。
図4
実験結果からの(不完全な)考察
一連の実験(単極モーターにかかる力学的な特性)の結果について考察を続けてきました。関連する過去記事は多いのですが、2つ挙げます。(この当時、管理人が持っていた疑問点を明確に示せていませんでした。悪しからず。)
- 2018年1月8日 「ファラデーの 単極誘導モーター に生じる力」を調べるに「ローレンツ力」という言葉を用いない理由
- 2019年5月22日 「 ローレンツ力 には2つある」ことについて
ローレンツ力の説明はあり得ない
不思議なことに最近の教科書や参考書には単極誘導という語はなくて、ローレンツ力として説明があります。
図5 ローレンツ力
図1~図4にある単極誘導と図5のローレンツ力の説明との違いはわかりますか。
ローレンツ力の説明において、磁場(磁界)による磁束密度は一様です。しかも、一様であるが故に図1~図4にある回転運動という要素が脱落しています。磁場が一様であるためには、回転半径が無限大である必要があります。
- 現実に磁場が一様である状態はあり得ない。
- 半径無限大の回転運動はあり得ない。
2つの理由から単極誘導の現象の説明にローレンツ力という説明を用いるのは間違いです。
また、ローレンツ力という説明だと電磁気学に示される誘導起電力の数式との間に不整合があります。
右辺第1項が電磁誘導です。第2項が単極誘導を示します。磁場が一様で回転半径無限大だと角速度ωが不明だと考えますが、如何でしょう。参考:【電磁気学】ファラデーの電磁誘導の法則④~例題:閉回路以外の導体が運動する系~
それと電磁気学に示される起電力の数式の第2項と単極モーターにかかる実験の結果とは、相容れないことがわかりました。冒頭に示した「ファラデーの単極モーターに生じる力の解析」をお読みください。
電磁モーターと単極モーターが示す特性は完全に別の現象です。単極誘導の現象による起電力が数式の通りとは思えません。しかも、不思議なことに2つの起電力に性質の違いはありません。(交流と直流の違いはありますが。合成することが出来ます。)
単極誘導の現象は楕円双極による
ここ何ヶ月か恩師であるA先生とのメールによってわかってきたことがあります。それは、発散トーラスを組み合わせた楕円双極が上記の実験結果と合致するらしいと言うことです。(発散トーラスの説明は省略します。)
棒磁石が持つ磁場(磁界)は次のように示されます。
図6
一方で楕円双極は次のような形状らしいことが判明しました。
図7 楕円双極
図6と図7は微妙に異なります。楕円双極と言いながら、棒磁石に現れるその形状は、単極です。その中心は磁石の重心位置に一致します。
図6と図7を重ね合わせます。
図8 電磁誘導は双極 楕円双極は単極
青色で示す磁場と赤い破線で示す楕円双極は異なります。青色が電磁誘導で赤色が単極誘導だろうと考えます。電磁誘導は双極で往復運動によります。 また、楕円双極は単極で回転運動によります。これがローレンツ力という説明だと本質は抜け落ちてしまいます。
この考え方は、外村彰氏による実験と符合するように感じます。
但し、楕円双極がベクトルポテンシャルと同じかどうかわかりません。
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