田坂広志氏による ゼロ・ポイント・フィールド 仮説は”差分”ということ

手元に「死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説:田坂広志著」があります。

死は存在しないかどうかに興味はなくて、量子論から得られる仮説だというゼロ・ポイント・フィールドに興味があります。興味深いことが書いてありますので引用したうえで、弧理論からの解説をします。

本では、ビッグバンを起こした膨張する宇宙、森羅万象の宇宙は、すべて量子真空から生まれたとして、量子真空について次にように述べています。P118【無限のエネルギーが潜む「量子真空」】より。

これは、すなわち、この「量子真空」の中には、この壮大な宇宙を生み出せるほどの莫大なエネルギーが潜んでするということに他ならない。

そして、この「量子真空」は、いまも、我々の身の回りに、この宇宙のすべての場所に、普遍的に存在しているのであり、これは、別な表現をすれば、我々の生きているこの世界の「背後」に、「量子真空」と呼ばれる、無限のエネルギーが満ちた世界が存在しているということである。

このように、現代科学の最先端の量子物理学においては、何もない「真空」の中にも、莫大なエネルギーが潜んでいることが明らかにされているのであるが、このことは、「真空」を「無」と考える一般の常識からすると、なかなか理解できないことであろう。

なぜなら、密閉された容器の中から空気を含むすべての物質を外に吸い出し、容器の中を完全な「真空」の状態にしても、なお、その「真空」の中には、莫大なエネルギーが存在しているのである。そして、このエネルギーのことを、量子物理学では、「ゼロ・ポイント・エネルギー」と呼んでいるのである。

また、最新の「量子真空」の研究によれば、このエネルギーは「無限」であるとの理論も提示されている。

研究によれば、何もない(量子)真空には、無限のエネルギーが存在しているとして、このエネルギーのことをゼロ・ポイント・エネルギーと呼ぶと言います。

そして、宇宙のすべての情報を記録する「 ゼロ・ポイント・フィールド 」が存在するというのが仮説です。【この宇宙のすべての情報を記録する「ゼロ・ポイント・フィールド」】P121より引用します。

この「仮説」を詳しく論じる前に、その内容を、もう少し正確に説明するならば、この「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」とは、この宇宙に普遍的に存在する「量子真空」の中に「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる場があり、この場に、この宇宙のすべての情報が、「波動情報」として「ホログラム原理」で、「記録」されているという仮説なのである。

量子物理学の研究の成果として、ゼロ・ポイント・エネルギーがあり、その”場”をゼロ・ポイント・フィールドと呼ぶ仮説で説明すると言います。そして、ゼロ・ポイント・フィールド仮説によれば、宇宙のすべての情報は、波動情報として、ホログラムの原理によって、記録されているとされます。

現在の物理学では、ゼロ・ポイント・エネルギーは事実として認められていて、その原因を「場」で説明するべくゼロ・ポイント・フィールドという仮説がたてられたようです。

過去に、ゼロ・ポイント・フィールドに言及していました。

いろいろ書いていますが、当時と基本的な考え方は変わっていません。けれども、田坂氏の言う仮説は、弧理論と基本的な点において同じです。

  • 物や事は差分であって、結果である。背後(基軸という)上にすべての原因があり、物と事の原因である基軸上の実体をうまく操作すれば、汲んでも枯れない井戸として利用できる

弧理論による前提があります。

  • 人の肉体に備わった器官でわかるのは、物と事(運動)である。
  • 自然は別の次元軸(基軸という)からの投影による映像である。
  • 物と事は投影された映像である。

物理学での問題は、物と事の区別がないという点でした。参考として、弧理論から見た量子論の問題点をあげています。

簡潔に書けば以下です。最近分かってきたことです。

  • 物(m)と事は一つの実体の異なる面に過ぎない。E(事:動き)=mc
  • 物(現在)と事(過去)は同時に決まらない。
  • 極小領域において、物と事は離散的・確率的に現れる。
  • 極小領域において、物と事の間には不確定性関係がある。(同時に決まらない)

自然が映像ならば、上記の4つは同じ意味を持ちます。一つの仕組みで説明できます。

図1 現在:物がわかる 過去:事わかる(動きがわかる)

自然が投影による映像ならば、物と事は、離散的、確率的に現れます。これは量子現象そのものです。物質(質量m)とエネルギー(事:運動)は一つの実体の異なる面に過ぎません。物理学者は1900年代初頭にボタンの掛け違いをしました。それが現在でも続いているということです。相対性理論と量子力学が統一できない原因です。

 

田坂氏の言うゼロ・ポイント・フィールド仮説における「宇宙の全情報が波動情報としてホログラム原理により記録されている」という話は決定的に間違いです。

情報とは事の質です。これまでにあげた事(運動)は、次です。

  • 角度、時間
  • 速度、流速
  • 加速度、躍度(加速度の時間変化)
  • 圧力、気圧
  • 温度
  • エネルギー
  • 波動(時間の観念を含む)
  • 孤立波(ソリトン)
  • ソリトンの一種である素粒子
  • 電磁波、光子
  • 確率
  • 情報(記憶)

情報を蓄えるには必ず媒体が必要です。必ずです。例えば、数を記録するにソロバンがあります。

gif 1

ソロバンの玉を動かす事によって、数を記録します。例え暗算であっても、脳内に電流の流れによって記録されます。記憶、記録にはソロバンなり、脳なりの媒体が必ず必要です。ホログラム原理といっても、ホログラムにも必ず媒体が存在します。

上記のとおり、物と事は一つの実体の異なる面に過ぎません。情報を記録するには必ず対応するが必要です。波動情報とは何なのでしょうか。意味が分かりません。

自然が投影による映像だという、仕組みを説明する情報のみに意味があると考えます。

いずれにしても、ホログラム原理を言うならば、ホログラムを記録す媒体があるはずです。波動情報とは何なのかが気になります。

図2 出展:量子もつれが時空を形成する仕組みを解明~重力を含む究極の統一理論への新しい視点~

普通に考えて、宇宙の全情報を記録す媒体とは、宇宙そのものです。リンゴの全情報はリンゴそのものにあります。宇宙方程式にリンゴはありません。

田坂氏による説明、大栗氏による説明のいずれも、ゼロ・ポイント・フィールド 仮説によるようですけれども、意味が分かりません。

話はそれましたが、弧理論から見たら ゼロ・ポイント・フィールド 仮説によるゼロ・ポイント・エネルギーは、差分だと考えられます。 自然が別の次元軸(基軸)からの投影により映写されることによって、が現れるならば、投影元である基軸上にすべての原因はあります。物事は結果です。

極小の領域において、物と事が離散的、確率的に現れるのも、物質がエネルギーに転換するのも、かつ、真空も空間も、物も事もすべて投影による映像です。人の肉体でわかるのは、投影の仕組みによる差分のみです。

 

因みに弧理論における空間は、境界空間の仮説により説明できます。

  • 岡潔 「空間は量的質的にありません。」

gif 2 境界空間の仮説を説明する模型 青い水と灯油の境界面は存在しない

存在するのは水と灯油です。境界面は存在しません。人にわかるのは灯油です。灯油と水の存在がわかるから、結果的に(存在しない)境界面がわかるのです。この模型の次元を一つ上げたのが境界空間の仮説です。

人が、物と事がわかるのは、基軸上の実体が「わかる」からです。実体にかかる差分として物と事がわかり、その結果、量的質的に無い空間がわかるのです。量子空間に本質はありません。空間は結果に過ぎません。

 

こうやって、振り返ってみると弧理論は統一理論だと感じます。弧理論において、重力は基軸方向への渦(回転)として説明されます。引力の模型です。

動画1 この動画をあげたのは10年前!!

表面張力で引力と斥力を説明しています。ただし、基軸方向への凸凹によりできると考えています。引力と斥力には、4つの場合があります。

  1. 凸の渦 と 凸の渦 引力
  2. 凸の渦 と 凹の渦 斥力
  3. 凹の渦 と 凸の渦 斥力
  4. 凹の渦 と 凹の渦 引力

 

追記1/26 田坂氏の本の引用文に出てくる「波動情報」について。弧理論から見た波動情報について考えます。

同書P122に『「波動干渉」を利用した「ホログラム原理」で記録されている』とし、田坂氏は「この仮説が、一笑に付することのできないものであると感じた」といいます。なぜならば、『量子物理学的に見るならば、この世界のすべては「波動」だから』と言います。そして、世界のすべてが波動であることが科学的事実だからとしています。

これに異論があります。管理人は波動である実験的事実は認めます。ただし、「極小の領域において現象は、離散的・確率的に現れる」という事実と仕組みは異なると考えます。

まず、自然科学は物と事の区別がありません。冒頭にあげた通り、電子は物ですが、電子の運動(事)の一種がです。波において、時間の観念を組み込んだのが波動です。波動の一種に孤立波(ソリトン)があります。電子の波動のソリトンが光子です。つまり、電子が物で電子の運動にかかる「事」が光子です。光子は事です。これは、図1の解釈によります。

陽子・中性子・電子にかかる事(運動)である波動の干渉が、田坂氏や理論物理学者が言うところの波動情報です。つまり、波動情報は物である陽子・中性子・電子にかかる事(運動P)であって、ホログラム原理が何であるかはわかりませんけれど、情報を蓄えるには、媒体が必要であって、波動情報の媒体は宇宙に在る陽子・中性子・電子に過ぎないということになります。宇宙にある全物質と波動情報は、一つの実体の異なる面に過ぎません。

過去記事で示した大栗氏による「量子もつれが時空を形成する仕組みを解明~重力を含む究極の統一理論」の前提であるホログラム原理は矛盾であるという理由はここにあります。大栗氏が言うホログラム原理が成り立つには、宇宙のすべての物質と同量の全物質が(別に)必要だということです。

  • 宇宙1にホログラム原理が成り立つには、別に存在する同量の全物質を媒体(宇宙2)とするホログラムの仕組みが必要

この考え方は、どう見ても変です。記事の途中で書いた通り「リンゴの全情報があるのはリンゴそのもの」です。事である素粒子群は、物である(陽子中性子電子の3種)の倍数である12に分類できるのです。3→6→12→24です。単独で取り出せないクオークは存在しません。過去に書きましたが、超超巨大加速器が実現したならば、突然、観測される素粒子群は24倍になると推測します。図1のように、基軸からM軸への投影角が浅くなるだけで、観測される事(この場合は素粒子群)は、極端に増えます。

当サイトの記事を深くお読みいただいている方はおわかりのとおり、相対性理論(E=mc)の誤った解釈によってボタンの掛け違いが起きてから、110年以上経ちました。行き着くところまで来た感じです。

  • 物質はエネルギーに転換するし逆にもなると言うが、本当は一つの実体の異なる面に過ぎない。(図1)

物質と波動情報は、一つの実体の異なる面に過ぎません。

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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