二重反転型単極誘導モーターにみる「運動の相対性」について

運動の相対性については、誰しも「完全」に理解していると思い込んでいます。ところが現実の行動は異なるのではないかと感じます。 地動説は誰でも理解しているのに、太陽が東から昇ることに慣れきっていて、実験を計画するとき、知らず知らずの内に「天動説」側での実験しかしていないようです。  そこで、管理人がこれまで行った単極誘導モーターの実験を元に「運動の相対性」について考えます。

(1) 水銀を用いた二重反転型単極誘導モーターにかかる作用と反作用について

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動画1

の実験3(2015年1月30日実施、動画の1:25~)は、

同軸二重反転単極誘導モータ図1 (追記あり)

のような構成になります。  中心電極(-)のまわりに仕切り板を入れて、外側電極(+)を配置します。中心電極、仕切り板、外側電極は、いずれも装置(単極誘導モーター)に固定されています。仕切り板を介して、内側を水銀Aとし、外側を水銀Bとします。電流(およそ0.6V最大30Aの設定)を流すと、1.水銀Aは時計方向(CW)に回ります。2.水銀Bは反時計方向(CCW)に回ります。 このときリング状のネオジム磁石は水銀Aに浮いています。(ネオジム磁石の比重は水銀の約半分) 単極誘導モーターに生じる力は、磁石力学的に関係しませんので、水銀Aに押し流される形で時計方向に回ります。

図1において「仕切り板」はどうかというと、
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動画2  2015年5月28日実施

に示すように、仕切り板は水銀の渦から力を受けていません。動画2での浮かせた仕切り板は、比重が軽いのと、ネオジム磁石と若干接触しているために、ネオジム磁石と同じ時計方向に回っています。3.仕切り板は力を受けていない

では、どこが水銀の渦による反作用を受けているかというと
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動画3 2015年2月16日実施

に示すように、外側電極が反作用を受けています

同軸二重反転単極誘導モータ図1 (再掲)
ここで、水銀Aの渦にかかる反作用について、外側電極に遠隔で伝わっているとは考えられません。 勿論、水銀Bの渦にかかる反作用は、外側電極が受けています。 詰まるところ、

4.外側電極は、水銀Aと水銀Bの渦による反作用の差分だけを受けていることになります。

では、単極誘導モーター全体での作用反作用は、どうかというと
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動画4 2015年9月29日実施

に示すように、単極誘導モーターの慣性モーメントと水銀の慣性モーメントの差分だけ、単極誘導モーターは、捻れる(慣性モーメントを持つ)ということになります。

図1に示す水銀Aの慣性モーメントと水銀Bのそれの差分が単極誘導モーターの慣性モーメントと異なれば、動画4のように単極誘導モーターは、捻れるはずです。

以上をまとめます。 ここで、話を単純にします。

単極誘導の現象は、非常に効率が低いです。 実験による体感では、投入された電気エネルギーの内数%程度しか運動に変換されないようです。他は「熱」あるいは放電、さらには上記の実験においては水銀の「蒸発」に使われているようです。 いま仮に、効率が100%であって、投入された電気エネルギーを「20」とします。これらを元に「運動のレベル」を縦軸に、かつ観測者を中心に配置しますと、

同軸二重反転の比較図2

の左図になります。 地上の部屋に居る観測者は、机上にあるモーター本体に対して静止しています。この運動あるいはエネルギーレベルを「ゼロ」とします。 すると水銀Aの渦の方向は時計方向(CW)で(10)ですが、物理学において、角度は反時計方向にとりますので、CWは、(-10)で表します。 水銀Bの渦の方向は反時計方向ですので、(+10)となります。

ここで、単極誘導モーターは、「一回路、一モーター」ですから、仕切り板の位置(直径)を適当に配置すれば、投入された電気エネルギー(20)を水銀Aが(-10)、水銀Bが(+10)の運動レベルに分けることが可能のはずです。この場合は、モーター本体の捻れ(運動)はゼロになります。

次に上記と比較対比させるために、二重反転機構を持つヘリコプターや船用のプロペラ機構について考えます。

(2)同軸反転機構を持つヘリコプターあるいはプロペラ機構について

比較のために、同軸反転のトイヘリを分解しました。

CIMG2511写真1

は、機首を左に、上がローターAで時計方向に回転します。下がローターBで反時計方向に回転します。 右に見えるテールローター及びブーム、尾翼はすべてダミーで機構としては無意味です。

CIMG2512写真2

は、スキッドの下から見た物で、底板の奥にメインギヤ2枚とモーター2台が内蔵されています。

CIMG2518写真3

は、中央に黒い大きなメインギヤが2枚見えます。下側のメインギヤはギヤAを介してモーターAに、奥側のメインギヤは、ギヤBを介してモーターBに繋がっています。モーターA、BはいずれもDCブラシモーターです。

CIMG2516写真4 参考

CIMG2517写真5 参考

モーターA、モーターBのいずれも機体に固定されており、モーターAとモーターBの反作用は、いずれも機体が受けます。 2つのローターの回転方向が反対だということだけです。

写真の機構をまとめると、

同軸二重反転の比較図2 (再掲)

の右側になります。 地上の部屋に居る観測者は、机上にある機体に対して静止しています。この運動あるいはエネルギーレベルを「ゼロ」とします。 仮に、バッテリーから投入された電気エネルギーが20で、モーターA並びにモーターBに各々「10」働いたとするならば、ローターAは、時計方向に(+10)であり、ローターBは、反時計方向に(+10)の運動のレベルにあることになります。何故なら、

モーターA並びにモーターBのいずれも、反作用を機体が受けているからです。

因みに二重反転ヘリにおける、機首の方向(ヨー軸)及び機体の上昇下降はモーターAとBの出力を加減することにより制御しています。

 

ここで、同じ二重反転機構を持ちながら「一モーター」のプロペラ機構を示します。
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動画5

の構造は、判別しにくいながら

sanka03写真6 出典:散香マークB(その1)

に示すようなもので構成されています。これは遊星ギヤの一種です。 この場合も、プロペラAの反作用は、モーターが受けていますし、遊星ギヤを介するプロペラBもモーターが受けていることに気付きます。プロペラAとプロペラBの反作用の「差分」をモーターに伝えている訳ではありません。

 .

ここに、(1)単極誘導モーターにおける作用反作用の仕組み(2)二重反転機構を持つヘリとの違いについて、考えます。 この違いは、

あらゆる「運動にかかる」「反作用を」「静止した観測者に伝えた上で」「相殺する」か、

2つの運動にかかる反作用を相殺した上で、差分だけを「静止した観測者に伝える」か

の違いであることに気付きます。

同軸二重反転の比較図2 (再掲)

こうして理解すると、何か不思議な感覚を覚えます。 「20」投入したのに合計は、+10-10=0?。 でも、運動は|10|と|10|を加えたものです。

unndou図3

enundou図4

と見比べてみますと面白いです。観測者から見て各惑星の運動に「反作用」は伴いません。  右リンク先「自然科学から弧理論へ」の中段、「8.運動の相対性とエネルギーの相対性」を参照ください。

ここで思い出すのが

y8472309写真7

ヨットです。風を帆に受けて進むヨットは、図2の左側に示す「A」だけを眺めているような感じです。どこかに反作用が失われてしまったような、何か変な感じです。

過去記事に取り上げましたように、

ジェット気流は地球の自転方向に吹く

ジェット気流は地球の自転方向に吹く

図5

地球の自転方向と年間を通して吹いている「ジェット気流」の方向が同じである理由と何か関係があるだろうという直観があります。ついでながら、マントル対流を含む地球の構造が単極誘導の現象と関係があるだろうとにらんでいます。

直線運動だろうと回転運動だろうと、運動の相対性に違いはありません。しかしながら、地上で身近に運動の相対性を実感(また試せる)のは、単極誘導の現象だけではないかと思うのです。

この点CERNの大型加速器(LHC)も(2)と全く変わらないことに気付きます。 AC・DCモーター、ロータリーエンジンどころかブラシレスモーターやハイブリッド車、PHV、燃料電池車、ジェット機、ロケットなどなど、人類が開発する機器・装置類は悉く同じです。  人の「慣れ」とは恐ろしいほど「変える」ことが難しいのだと実感します。

ジュネーブの地下に建造されたLHC(大型ハドロン衝突型加速器)は、東京のJR・山手線ほどもある巨大な実験施設写真8  出典:大型ハドロン衝突型加速器、7TeVでの衝突実験に成功

最先端といわれる科学全般に云えることは、往々にして「五感でわかる」範囲を越えているということです。対して単極誘導の現象は、人の五感でわかる、中学生にも理解できる現象だということです。これはとても大切なことです。

マイケル・ファラデーが単極誘導の現象を発見してから二百年以上経ちます。 以来、ほとんど無視されてきたのは、トム・ベアデンが云うように「電磁気学は歪められた」という理由として「金融資本家に都合の悪いことがあったからだ」という話と合致するという気がします。 でなければ上記の各種実験など、二百年以上前から知られているに違いないのです。 (もし電磁気学の教科書に単極誘導に関する二重反転、三重反転、あるいは力学的解析について書かれているならばお教えいただけるとありがたいです。管理人が持っている電磁気学の教科書3冊に該当する記述はありません。)

2016年10月5日 追記

同軸反転型単極誘導モーターにおいて、仕切り板を「仕切りと電極」に分けて考えるの記事により図1の考えを撤回します。ただし、考察の過程を残す意味で記事はそのまま置きます。ご了承ください。

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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二重反転型単極誘導モーターにみる「運動の相対性」について への3件のフィードバック

  1. takutaku のコメント:

    興味深く拝見させていただいてます。二重反転、三重反転、作用反作用、それを突き詰めていくと、なにがあるのでしょうか。関係のない話かもしれませんが、回転する銀河があって、普通なら外側に行くほど速度が遅くなると思われていましたが、実際に観測すると同じ速度だったそうです。この二重反転、三重反転、更には四重、五重となったときやはり外側ほど遅くなるのでしょうか。遅くならないとしたら、何が影響しているのでしょうか。くだらない質問で申し訳ないです。

    • 佐々木 のコメント:

      私は外側ほど速くなると聞いたことがあります。
      太陽が角速度一定で回転しているとして、太陽風の速度は無限ではないから、螺旋状磁場になる。
      アダムスキーは電子管で説明していた。

      naglly.com/archives/2012/12/our-solar-system.php
      anond.hatelabo.jp/20140830230307
      1つ目を見た後で2つ目の記事を読むと、2つ目が強烈に嘘だと感じる。
      刷り込まれた常識を解体できます。

    • Φ のコメント:

      >突き詰めていくと、なにがある
      回りに固定点が無い宇宙空間において、なぜ回転が重要なのかを知る決め手になると思います。当ブログで度々申し上げていますことで、人類の作った機械装置は悉く「往復運動→回転運動」の機構を持つものばかりです。これは宇宙空間では通用しません。本質的な何かが違うと感じます。それが単極誘導の現象に現れていると感じます。実験の結果、反作用は電極が受けています。外側電極が遠くにあると渦はできません。ところが仕切り板があれば反作用の「差分」だけ電極が受けるわけですから、うまくすれば周囲に固定点がなくてもよいと、「外側電極がどこかに固定されていなくても」AとBの回転は起こせるというふうに考える次第です。私は反転現象が互いに反作用をキャンセルする(差分のみが外部へ伝わる)などという現象は見たことがありません。自分としては凄いことだと思います。
      >更には四重、五重となった
      単一の磁石での反転現象は、三重反転までだと思います。複数の磁石を用いれば可能かも知れませんが分かりません。銀河系よりむしろ、原子殻の構造に近いと感じます。原子の殻電子が主にK,L,M,N殻の四重であることは、陽子と中性子による原子核の構造によるのかも知れないと感じます。
      実験を通して、単極誘導の現象が磁石を構成する原子核と磁石周囲の電子との相互作用かも知れないと思うからです。三重反転が可能ということは、磁石を構成する原子核の構造に起因するのかもと逆に考える訳です。

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