” 他力 ”とは創造の仕組みを言う

仏教には 他力 本願という言葉があります。「他力本願」は、一般に自分の力でなく、他人の力によって望みをかなえようとすること。もっぱら他人の力をあてにする、他人まかせという意味で、いろんな場面で使われています。

しかし、仏教が示す本来の意味はまったく違います。

「本願」は仏が修行しているときに立てた誓い。本来は阿弥陀如来の本願によって極楽往生を得ること。

ただ、他力 」についてのみ言えば、過去記事に書いたように”他力”とは「気づかされる」という意味です。しかも、次のような”他力”の例は本来の意味ではないと考えます。

  • 「友人から”君は~だというが、本当は△なんだよね。”と言われ、今更ながら友人の言葉に気づかされた。」

確かに、人の肉体に備わった感による”わかる”の根底には「仏(Buddha)あるいは善導大師の名付けた””」があります。 注)だから、視・聴・味・嗅・触が働くのです。しかしながら、これだけでは不十分です。

 

ここで、岡潔が言った「情・知・意の順で働く」ということを考えます。

人の感覚により物と事に気づかされるというのはあっても、新しい知見や発見、あるいは創造という行為は含まれていません。上記の友人の言葉に気づかされる何かがあったとしても、それは創造、あるいは新しい知見ではありません。

岡潔は「情的にわかるものを知的に言い表すことにより文化は出来てくる」と言いました。まず的にわかり、次に的にわかる。だから言葉で言えます。そして、最後に人の意識に上ってきます。で、情的にわかるとは何かです。【4】情のメカニズム

何度も説明した”匙とスプーン”の例をあげます。

写真1

写真1が何であるかを国語の辞書で3回ほど調べます。すると次図を得ます。

図1 は、岡潔の言った第1の心の仕組みを図示したに等しい

物とは何か器具とは何かを更に調べる必要がありますが、とりあえず得られたのが「互いに規定しあうことにより成り立つ、循環ネットワークであり、外のない内」を示す図です。ここで、「感覚でわかる」という気づきの限界がわかります。これはインターネットを示す概念図と同じです。

図2 インターネットもまた外のない内

インターネットに載っていない情報などいくらでもあることを誰でも知っています。我々の言葉で言える意識はインターネット網と同じく「わかっていないことなどいくらでもある外のない内」なのです。

これでは、新しい知見、発見や創造が出てくる仕組みがありません。その仕組みが” 他力 ”なのです。

図3 岡潔の情の働き、仏教の他力、トのヲシテ、日月神事の”気づかされる”はすべて同じ

我々の意識、外のない内に新たな知識を組み込むには”気(キ)づかされる”が必要なのです。人に心が2つあると知らない西欧の人たちが作った自然科学には、創造の仕組みがありません

岡潔が言った「わからないものに関心を集め続ける。いつしか努力感を感じない精神統一になっている。やがて情的にわかる。これを知的に言い表す。」という行為(弛緩と関心)が他力を受け入れる行為です。【7】創造のメカニズムより引用です。

例えば私本を書いている。本を書こうと思って原稿を書きます。その時、大体こんな事を書こうと思って書き始める。そうすると文章になって現われる。それを良く読んでみて、そしてその時始めて、自分は、こう云う事を書いたのかと分る。

俳優の台詞のように、始めから用意していって、その通り人の話しを、台詞を用意して行ってするのではなく、人が本を書くのは書く前から分っているのではなく、書いて了ってから読み合わしてみて分る。

で、これも何処まで自分がしているのか、何処までして貰っているのか、どこからしているのかはっきり区別はつかない。はっきり自分がしているんだと云えることは、この、一旦、文章になったのを読み直してみる、この時は意識を通して読みます。

そしてこれで良いんだと思ったり、ここは直さなければいけないと思ったりする。その辺まで来ればもうはっきり自分がしてるんですが、何もないものが文章に現われていくところは、一体どこまで自分がしているのか、どこまでを造化がして呉れているのか丸で境目がない。

下線は管理人による。

こうして、図1のネットワークを広げることができます。それでも、依然として第1の心の特性である”外のない内”に変わりありません。

例にあげた友人の言葉に気づかされるというのが他力のすべてではありません。おそらく、本願の本当の意味はこれだと思います。でなければ、人類の発達など望めません。少なくとも自然科学のままではダメだとわかります。ついでながら、個人的には極楽浄土云々を信じていません。専ら人類自らの”他力”を受け入れる姿勢によると考えています。

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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