「個の不思量底、いかんが思量する」と「 外のない内 」の関係

先日10月23日の弧理論研究会で用いた資料に岡潔講演録(20)1971年度京都産業大学講義録第6回の【4】禅の非思量があります。一部引用。

あるとき『禅師』が座禅から立ち上った。それで弟子が聞いた。「何をしてられましたか」と聞いた。そうすると禅師は『個の不思量底を思量する』。まだ誰も考えてないところのひとつのことを考えていたのだ、こんなふうな意味です。そうすると弟子は「個の不思量底、いかんが思量する」と聞いた。

不思量というのは、「まだ誰も考えてない」何かです。弟子は「誰も考えたことのない何かをどのように考えるのですか」と聞いたというのです。

「誰も考えたことのない何か」について議論しても仕方ありません。むしろ「考える」ということがどういう仕組みであるかがわかれば不思量底の意味がわかってきます。

岡潔は【1】 2つの心において、次のように述べています。

人には、ここから何時も言わなきゃ仕方ない、心が2つある。心理学が対象としている心を第1の心ということにしますと、この心は前頭葉に宿っている。それから、この心はわたくしというものを入れなければ金輪際動かん心です。その代り、一旦、私というものを入れたら、「私は悲しい、私は嬉しい、私は愛する、私は憎む、私は意欲する」と、丸で笑いカワセミのようにうるさい。

 それから、この心のわかり方は意識を通さなければ決してわからない。それから、ここまで来ればもう心理学は知らないんだけど、この心は物質的自然界の全部を覆うている。しかし、それより外へは決して出てない。物質的自然界というのは、自然科学者が研究の対象としている自然です。

人には心が2つあるというところから言わなければ仕方がないのです。管理人も弧理論の話を進める前に2つの心について徹底的に掘り下げてきました。この前の研究会でも人に心が2つあり、それぞれどのような仕組みで、どのように働くのかを詳しく説明しました。当たり前に、自然科学教育を受けた私たちにはまったく馴染みがない話ですから、とてもわかりにくいのです。

第1の心は次の通りです。

  • わたくしというものを入れなければ金輪際動かん心であり、
  • 一旦、私というものを入れたら丸で笑いカワセミのようにうるさい心
  • この心のわかり方は意識を通さなければ決してわからない
  • 言葉で言える(注:岡潔が別の箇所で指摘している)

ここからは管理人による第1の心についての考察です。

  • 言葉は互いに規定し合うことにより成り立つ循環・ネットワーク
  • 循環・ネットワークとは「 外のない内 」である
  • 人は物や事を言葉でわかっているのではない(第2の心の働きによる)

図1 言葉は互いに規定し合うことにより成り立つ循環・ネットワークで外のない内 (創造とはXをネットワークに取り込むこと=科学の基本)

つまり、第1の心は外のない内であり、意識を通し言葉で言える人の思考がすべてと思っていて、以外について考えることができないということです。

ここで注意が必要です。このような話を聞くと大方の人は「あ、無意識のことですか。」と言います。これは岡潔の言葉「心理学は知らない」に引っかかります。つまり、心理学は言葉で「意識と無意識」という””として限定していますが、岡潔は「意識を通さない」という具合に意識以外を限っていないのです。

岡潔は『禅師』の言う「誰も考えてないところ」を心理学の言う意識に”対つい”となる無意識という言葉に閉じ込めていないのです。この前提があるから岡潔は「意識を通さない」と表現したのです。これが 外のない内 であって、自然科学教育を受けた殆どの人がわからないのです。

 

以前にも取り上げた岡潔の言葉「自然数の1は決してわからない」に通じます。【6】数学の使えない世界の解説から。

例えば、2進数に限れば「1とはゼロでない数で、ゼロとは1ではない数」です。だから1は決してわからないのです。つまり、2進数は互いに規定し合うことにより成り立っている最も簡単な循環・ネットワークです。2進数のゼロと1もまた外のない内なのです。そして、当たり前のこと10進数も16進数もありますし、如何なる言語もアセンブラやコンパイラとして構築できます。

仮に我々の意識が2進数の計算機で構築されていたならば、2進数で「考えてないところ」を考えることはできません。でも、その意識(言葉で言える)は新しい知見(X)を循環・ネットワークに取り込むことは可能です。これが「創造」です。講演録の【7】創造のメカニズムが参考になります。

 

ついでながら、管理人もブログを書く際に「大体こんな事を書こうと思って書き始める」のですが、書きながら「何処まで自分がしているのか、何処までして貰っているのか、どこからしているのかはっきり区別はつきません。」

岡潔の云う「何処までして貰っている」が仏教の他力です。先日の研究会では岡潔の云う「わからないXに関心を集め続ける」という行為の意味について巾着袋を例にあげました。

写真1 閉じた巾着袋(緊張と集中の状態を意味する外のない内

巾着袋はお米などを入れる袋です。この袋の紐を縛っている状態(緊張と集中)では何も取り入れることはできません。この場合、中身は勿論、循環ネットワーク外のない内である言葉です。この状態は「自らXについてわかる」ことは決してありません。どんなに考えても外のない内から何かを取り込むことは不可能です。これを自力と言います。

岡潔は「わからないものに関心を集め続けて、やがて」と次のように述べています。

精神集中をつづけていると、いつしか努力感を感じない精神統一になっている

このような表現はあまり適切とは思えません。G・アダムスキーはこういった行為を「弛緩と関心」と呼んでいます。このような弛緩と関心の状態が紐を解いた巾着袋に例えられます。

写真2 開いた巾着袋(弛緩と関心の状態:待ち受け

しかしながら、巾着袋自ら何かを取り込むことは不可能です。上から求める何か(X)が降りてくるのを待つしかありません。これが仏教で言うところの”他力”です。

最近、管理人は、リラックスしてわからないものに関心を集め続ける状態を「待ち受けの状態」と呼んでいます。これだと誰でもわかります。

弟子の言った「不思量底、いかんが思量する」とは写真2のことです。繰り返します。これは他力です。自力では如何ともしがたいのです。だから、「何処までして貰っている」のかよくわからないのです。

 

管理人が参考としている資料はいずれもほぼほぼ同じ事を示しています。

  • G・アダムスキー(5+1と”弛緩と関心”)とダニエル・フライ(ある科学者の云う映像の仕組み)の遺した資料
  • 記紀にあるシラス・ウシハクのシル(知る)
  • 数学者岡潔による2つの心とその他の言葉
  • ヲシテ文献に示される2つの心(タマとシヰの仕組みと働きやトノヲシテとロノヲシテ)
  • 仏教のBuddha、仏、覚、如来(繰り返し)、善導大師の覚、他力=気付かされる)
  • 日月神示(ひふみ神示)の”気(キ)付け”

これらをまとめたのが次図です。

図1 上段が第2の心で下段が第1の心に相当する

結論として、抽象的な数学を用いる際に要する”緊張と集中”の状態には、創造のメカニズム」がありません。自然科学には創造の仕組みとして体系化されたものがありません。

 

はっきり言って、仏教の不思量底や妙観察智などの言葉を覚える必要はありません。今の言葉で、今のわかりやすい言葉で言い表すのが何よりです。

言葉は時代とともに変化します。何より人は言葉でわかっているのではありません。言葉は形式ですから、その基本要素(音素)に意味はありません。意味づけるには循環・ネットワークを組むしかないのです。ですから、世界中には言葉が100以上あります。曖昧さがない言葉が最も優れているならば、言語は1つでよいはずです。でも、プログラム言語でさえ何十もあるのは基本要素に意味がないからです。意味づけは人がしているに過ぎません。

ついでながら、0と1と同様の意味しかない”対”に、有限と無限、場と量子などがあります。天国と地獄、右翼と左翼、善と悪なども考えられます。

 

ヲシテ文献の存在を知った2016年頃からこだわってきた「ヰクラムワタヲ ネコヱワケ フソヨニカヨイ ヨソヤコヱ」の意味がようやくわかってきました。ヨソヤコヱ=48音韻です。日本語の起源(大和言葉)の元が48音韻:アワウタです。音素に意味はありません。

因みにインターネットは、循環・ネットワークであり、外のない内です。

図2 出典:あなたはもう生まれていた?日本での実用化は1990年代

 

書き漏らし。岡潔の「数学する人生」にある4ページの写真「奈良の自宅前で思索にふける著者。65歳の頃。」この写真こそが「わからないものに関心を集め続ける」行為そのものです。以前から当ブログにて掲載したいと希望してきたのですが、ネットになくては引用という形で掲載できませんでした。 この様子がのヲシテですし、他力、待ち受けの状態なのです。是非、購入して観て欲しい写真です。この行為の形骸化したのが、祈祷や呪術です。 参考まで。2019年1月29日「新しい 天皇 に期待すること

 

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Φ について

2010年より研究しています。
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